■地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」 [単行本]
 細谷 功 (著)  価格:¥ 1,680
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4492555986/

■内容紹介
企業、特にコンサルティング会社の採用現場などでは、単に頭がいい人ではなく、「地
頭のいい人」が求められている。
インターネット情報への過度の依存が思考停止の危機を招き、検索ツールの発達による
「コピペ(コピー&ペースト)族」が増殖しているいま、「考える」ことの重要性がかつ
てないほどに高まっているからだ。これから本当に重要になってくるのはインターネット
やPCでは代替が不可能な、膨大な情報を選別して付加価値をつけていくという、本当の
意味での創造的な「考える力」である。本書ではこの基本的な「考える力」のベースとな
る知的能力を「地頭力(じあたまりょく)」と定義している。

では、地頭力とは何か。地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える
3つの思考力である。すなわち「結論から」考える仮説思考力、「全体から」考えるフレ
ームワーク思考力、「単純に」考える抽象化思考力だ。
この3つの思考力は鍛えることができるものであり、地頭力を鍛える強力なツールとな
るのが「フェルミ推定」である。「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」。こうした荒
唐無稽とも思える問いへの解答を導き出す考え方のプロセスを問うのが、「フェルミ
定」だ。「フェルミ推定」と呼ばれるのは、「原子力の父」として知られ、ノーベル物理
学賞受賞者でもある、エンリコ・フェルミ(1901~1954)に由来する。

本書では、「日本全国に電柱は何本あるか?」といった例題やその解答例から「フェル
ミ推定」のプロセスを紹介しつつ、「好奇心」「論理的思考力」「直感力」という地頭力
のベースとそれらのベースの上に重なる仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考
力の3つの構成要素とその鍛え方を解説している。

本書は、季刊『Think!』2007年春号に掲載されて大きな反響を呼んだ「フェルミ推定で鍛える地頭力」を
もとに全面的に書き下ろしたものである。本書が対象とする
のは、「問題解決」を必要とする業務に携わるビジネスパーソンはもちろんのこと、「考
える力」を向上させたいと考える学生なども含めたすべての職業の人である。フェルミ
定による地頭力レーニングの世界を経験し、「地頭力」という武器を持ってインターネ
ットの情報の大海をうまく乗り越え、読者なりの「新大陸」を発見してほしいというのが、
著者から読者の皆さんへのメッセージだ。
内容(「BOOK」データベースより)
地頭力の本質は、「結論から」「全体から」「単純に」考える三つの思考力である。
この三つの思考力は訓練によって鍛えることができるものであり、
地頭力を鍛えるための強力なツールとなるのが「フェルミ推定」である。

■目次

はじめに

第1章 「地頭力」とは何か
・過去の成功=未来の成功 ではなくなってきている
・(Z)物知りタイプの記憶力/知識力
 知/What/暗記勉強/汎用性低
・(Y)機転がきくタイプの対人感性力/合理性の対極
 情/How/人間関係/汎用性高
・(X)考える力/地頭力
 理/Why/問題解決/汎用性高
・YZ面:社会能力、根回し力
・XZ面:受験勉強
・ZY面:インプットとアウトプット…知の触媒機能
地頭力の構成要素3:知的好奇心/論理思考力/直観力
・3つの思考能力:結論から(要旨)/全体から(俯瞰)/単純化…経営者
・思考矯正の困難さ
 「山本五十六:やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば人は動かず」
・Z軸の状況でゼネラリスト、T字型、V字型、I:スペシャリスト
・軸の転換による地頭型多能人

第2章 「フェルミ推定」とは何か
・つかみどころのない物理量を短時間で推定する…おおよその推定値、と説得力
 回答の無い設問=考える力

第3章 フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか
・積極的/消極的
・時間内/解決できない
・前提を決めて回答まで/思考停止
・複数の最適方法/解法は1つ
・全体分類/やりやすいか
・回答が、2桁以下/3桁以上
・やり方があっているか?/正解か?

第4章 フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
・回答の精度の高低よりは、現在の情報量での仮設、最善論を相談することが必要
・全体ストーリーが無い:俯瞰
・枝葉にとらわれすぎる
マイルストーン:何時までに誰にどのように
・初めに目次を作る
・検索中毒:結果を鵜呑みにする、考える力が退化、考える癖をつける
・完璧主義:スピード>>品質 の場合がある事を理解する、期限設定
・情報コレクター:まず仮説を立てる
・猪突猛進:俯瞰する、客観視、説明
セクショナリズム:最終目的を意識、役割認識
・経験至上:他の世界から学ぶ、一般化、抽象化

第5章 「結論から考える」仮説思考力
・仮説思考力:最も高い可能性を想定し、それを最終目的地とし、繰返し結論に至る
 少ない情報から仮設構築、最終目的地を意識、検証を繰り返す(仮設構築、前提設定、時間内解決)
・限られた時間内に最善の結論を、効率的に出す、逆算して終わりから考える
・プレゼンテーション:相手中心に報告を組み立てる
 相手への意味、どうして欲しいか
・手段の目的化、せっかく、どうせなら、、、全目的の未達成
・自分の葬式から考える、7つの習慣
・前提条件を定義する(精度)=問題が半分解決 / 条件を明示して置き戻れる
・ホウレンソウ:現時点でわかっている範囲の結論
・仮説思考…最初の仮説にこだわらず検証しつつ精度を上げることが必要/不十分な検証

第6章 「全体から考える」フレームワーク思考力
・俯瞰能力と最適切り口での分析力
・全体−部分、切り口の選択、分類、因数分解ボトルネック思考・・・思考のクセを除去する
・思考の偏り=クセ、相対座標・絶対座標
NHK吉田たかよし氏「できる人は地図思考」、
 研修で「他人に情報を伝えるとき聞き手と視点を共有することに努力する」ことが重要
・暗黙の思い込み、座標系の一致、絶対音感、ソムリエの価値がこれに該当する(すごさと下手さがすぐわかる)
・話が長い理由
 「つまらない」、「わかりにくい」、「興味にあっていない」、「趣旨から外れる」
 所定の時間を越える、終わりが無いと感じる
・最適の切り口で切断する、死角が存在する
MECE(もれなくだぶりなく)が原則、、、
 3C「市場(customer)」「競合(competitor)」「自社(company)」、
 4C「製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)」
KJ法の限界…マンネリ化、新しい視点の欠如
因数分解−各要素のボトルネックを把握…それが精度になる

第7章 「単純に考える」抽象化思考力
・モデル化、枝葉の切り捨て、アナロジー(類推)
・1を聞いて10を知る、応用化
・モデル化
 自然科学のアプローチ:法則化、図解、単純化
・枝葉除去
 情報が意思決定を遅らせる、本質を理解する「30秒説明」
・アナロジー(類推)
 先人の知恵、自身の特殊性を見直す、たとえ話が上手い
・なぞかけは日本伝統のアナロジー開発ツール

第8章 地頭力のベース
・論理思考力(守)、直観力(攻)、知的好奇心(基礎)
 まずは仮説(攻)、それに基づき検証(守)…ビジネスのアート、サイエンス要素
・(守)一貫性、万人に理解される
・(攻)発明=論理思考では必ずしもない
・(基礎)問題解決のWhy型と知識のWhat型…物事を深く考える
・外山氏「思考の整理学」(受)グライダー能力、(攻)飛行機能力
・×人の意見にケチをつける、○自分だったらどうすると考える

第9章 さらに地頭力を鍛えるために
・基本動作を習得した上で、複雑な状況に対応していき、実践する
・情報が少ないのでとりあえず収集、例外にこだわって進まない、全体最適を忘れる
・大企業のセクショナリズムと完璧主義
・3分トレーニングと数値比較の訓練、エレベータテスト30秒で完結に、願い事を3回すぐ思いつけるか
・理由が3つある理由「個数宣言」、「記憶しやすい」、「質的な存在:MECE
 PlanDoSee、守破離、心技体、走攻守、3本の矢、3すくみ、など
・1枚の絵で説明、キラーチャート、全体像
・X軸で考えY軸で行動する
 X軸:一般化、効率、一貫性、マクロ、俯瞰、疑う、批判的、直球、信賞必罰
 Y軸:特殊化、無駄、矛盾、ミクロ、相手の立場で、共感、批判無、変化球、グレー
草枕(夏目漱石):智に働けば角が立つ。情に棹されば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

おわりに
フェルミ推定…本質を突くための思考、試行錯誤
・アートのサイエンスによるプロセス化
・テクニックとしてでない深い地頭力の明確化
・応用と有用性、具体例・・・Think!7200年春号

以上