走る哲学 為末 大

■走る哲学 (扶桑社新書) [新書] 為末 大 (著)
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4594066445/

■内容紹介
「名言」としてこぞって引用される為末大選手のツイッター集大成!

■内容 25年間トップアスリートとして走り続けてきた400メートルハードルの為末大選手。
2012年6月、4回目のオリンピック出場を目指し、日本選手権に出場したが、惜しくも敗退。34歳で現役生活に潔く幕を引いた。早熟型と言われる為末選手が、
「走るモチベーション」を切らさないために、どのように自分と向き合ってきたのか。

本書は、10万人がフォローする為末選手のツイッターを構成し直したものである。引退までの心境、これからどこを目指すかについても語ってもらった。

為末大ツイッターは、「孤独なランナーが自分を励ますメッセージ」ではない。
孤独な位置で自分を磨きながら、常に社会との着地点を探る客観的な姿だ。
この眼差しは、何かを成し遂げたい人、がむしゃらに努力している人、そしてそうあらねばと思っている人が普遍的に共感できるはずだ。

■~本書より~
「勝つためには続けること。続けるためには好きになること。好きであるためには自分であること」
「欠点があるから自分が嫌いなんではなくて、自分が嫌いだから特徴が欠点に見えている」
「坂の上まで行けば楽園が待っている。そう信じて人は必死で走るが、坂の上からは次の坂が見えてるだけだ。死ぬまでそれは終わらない。坂道を上る事、
それそのものを愛せるか。愛せる道を選んだか」
「もし誰かに期待されていたら、早めにがっかりさせておいたほうがいい。ほっておくと人生がいつの間にか、人が期待する方向に向かい始める」
「他人を基準にしたら、自分の明日は描けない」
「僕にとって自分と向き合うというのは、言ってみれば生まれ変わるということで、過去と決別して今を受け入れるということだった」
「アドバイスには、こちらの為を思ってのものと、その人の鬱憤をはらすためのものがあって、この違いがわかるようにしておくのはすごく大事だと思う」
「やるべきだからやると思っている人は休めない。基準が自分でないから休むことは罪だと思っている。だから休めない。やりたいからやっている人は休める。
自分がやりたいという気持ちを何より大事にしている。だから休める。前者はすり切れる、後者は生き生きしていく」
「もう来ぬ今日を精一杯走れたことが今はただありがたい」
内容(「BOOK」データベースより)
25年間走り続けてきた男が、考え、見つめてきたこととは―フォロワー10万人のツイッターを書籍化。

■目次
第1章 自分を軸に
・突っ走る時期と方向転換する時期その揺らぎの中で進んでいくことが大事
・技術を変化させるときには、元いた場所に帰れるかが基準、遊んで(考えて・試して)上っていける
・ゾーン:夢中になって時間を忘れる、余韻だけが残っている
・自己観察:苦しいのは進んでいるかどうかわからなくなってから簡単には前進しなくなる
・あきらめたら終了は本当、諦めてもいいけど「諦めたくない」をどう作っていくかが大事
・高いレベルのアスリートは空気感が違う、ゾーン、高いプレッシャー…昔の伊勢参り(限られた人だけが行ける領域)
・どれに勝つべきか照準を定める、疲弊しないようにする
・いい環境で突き抜けられない、勝ちすぎて脆い、結局は今
・視野を広げる、この道でなくても世界一がいることを知る(思い込み)
・視野を広げる、ピザを広げるように少しずつしか広がらない
・サンクコスト、10年続けても、成果が出ない、自分がやりたくない ならサンクコストは2倍
・すべての世界で高いレベルにあるものが参考になることが多い(陸上、ピアノ、料理)
・客観視するためには自然になって考える余裕が出てきてから、ある程度の反復は必要
・型に縛られすぎない、信頼できる他者の視点を蓄積する
割れ窓理論:善悪より空気と役割により行動が善にも悪にもなる
・自分が変わると周囲が変わるが自身の役割を客観視することが必要
・成長曲線は右上がりではない、階段、ギザギザ、落ち込みをいかに減らすかが大事、切れてしまわないこと
・議論好きは意見を戦わせることで自分を確かめる、日本人は自身の内省に沈む傾向にある
・子供に関しては徹底して結果主義にしない、オリンピックでは徹底して結果、だから切り替えれる
・成長が止まったら環境を変える
・価値観は他人が決める
・自分で変化を付ける、少しだけ道を変える、小さな学びを集める
・選択して集中する
・年下にも教えを乞う、マシな方法しかない

対談 ルールに適応する事
・いち早くルールの変化をつかむ
アメリカのルール明治主義、日本の暗黙の慣行主義

第2章 社会を軸に
・おままごとは誰かが素に戻った瞬間に終わる
・若者は縦の世代より横の世代からの影響の方が強くなっている
・個のつながりと情報の共有と変化、、、優秀な10代から学ぶ
・変化は2種類、コントロールできない変化には備えるのみ
・職業者はプロとしての役割と無邪気な遊びのバランスを常に探っている
SNSFaceBook=孤独を埋める「孤独産業」…としての地域スポーツ
・五輪招致の費用対効果の大きさ…世界中を呼び込んで良さを分かってもらえる
 これからの日本がどこへ向かうかのプレゼンのようなもの
・自己犠牲は継続しない
・危険であると認識しているうちは安心である
NPOなど非営利組織、、マネジメントはドライでないといけない
・突き抜け感とは、必要とされる存在を演じるのか、自分を貫いて社会に判断してもらうかの違い
・持ち場に戻って日々淡々と過ごす
・エネルギーと空虚感と飢餓感を社会の役に立つ方向に向ける

対談 ツイッターと日本文化
・罵られることに対しての耐性が最初の壁
FaceBookは毒がない
・一度振れるだけ振ってみると帰ってきて高く登れる場合もある?

第3章 コミュニケーション
・人は分かり合えないけど、付き合っていく、向き合うことが大事
・北風と、旅人と同じ目線の太陽
・不条理を見た人は空虚さを抱えたままで生きる必要があるということ
・人は人に寄り添うことしかできない
・日本ではユーモアと地位が併せ持つことが許されない?
・自由な発言は他社への信頼から始まる、成熟社会にしかない

対談 スポーツが社会にできる事
・日本の場合オリンピックは完全に結果主義、逆にいうと出ただけでこんなに応援される国はない、出兵に近い
・地域スポーツコミュニティと学校と子供

第4章 スポーツ
・ハードルはとにかく前に飛ぶこと、突き詰めるとシンプル
燃え尽き症候群、異様な興奮はない?
・楽しみたいかどうか:本当に自分を動かしているのは感情それがだまった時にやる気が失せる
・高校→大学で成績↓→実業団で成績↑…人は制限がないと無駄を無駄と気づかない
・理由がよくわからないものは、あまりいい答えは出てこない
・再現性がないものはだいたい実力じゃない
・できなくなった練習の本質をつかんで切り替えるセンスが必要になる
・早熟型:今を受け入れて楽しむ
・クラブチームと部活動の並存の必要性(目的の明確化、排他性)
・作業的と創造的
・感動には長い準備がある、その準備は自分たちでさせる、そして感動はみんなで分け合う(切ない…)
・基本は一人、非効率を他人にゆだねる
・辛さと効果は必ずしも一致しない
・本番でしか学べないこともある、基本は変わる
・自動化することで余裕ができる、イメージすることで自動化が鍛えられる
・伝えるためには1.伝える力、2.伝える内容 が必要
・部活動は、将来を見据えてつながる経験をし、致命的な怪我をしないことが重要
・なぜよりも、トップのデータを集めて分析する
・表面ではたどり着けない、本質はいつも見えない
・努力は夢中の副産物、夢中は自由の中にしかない
・自分に許可を与えて離れたところから何がしたいのかよく考える

対談 撤退の戦略、滅びの美学
・雨の中あっけないほど劇的:ハードルにぶつかり転倒・引退
・米では大学生は半分中退、再チャレンジさせる、厳しいセレクション
・日では右肩上がりの成長、戻れない、引退のみ(別分野で再チャレンジ)
・恥をかくことと転落することに慣れる

第5章 ふたたび、自分を軸に
・モチベーションの核は無邪気、努力は夢中に勝てない
・聞きすぎるのも危ない、走っている最中は耳をふさいでいる方が目標は達成されやすい
・ただ嫌いか、悔しい(羨ましい)から嫌いか
・深く入り込むほど喪失感は大きい
・毎日諦めることを含めて選択する
・本質的に人は変わらないが性質をポジティブにする事はできる
・成功者には努力していてほしい:願望

以上