秋山好古と秋山真之 日露戦争を勝利に導いた兄弟

愛媛県松山市に住むものとして前々から「坂の上の雲」を読まんといかんなーと思っていたけれど
その前にこちらから、戦争時の詳しい部分は少し端折ったけど
少しは人物像がわかった気がする

秋山好古秋山真之 日露戦争を勝利に導いた兄弟 (PHP文庫) [Kindle版]
 楠木誠一郎 (著)
 http://www.amazon.co.jp/

■内容紹介
日本騎兵の父、兄・好古と日本海海戦を勝利に導いた弟・真之。『坂の上の雲』の主人公の知られざる栄光と苦悩、そして兄弟愛を描く。
内容紹介
日露戦争を勝利に導いた兄弟がいた。司馬遼太郎著『坂の上の雲』の主人公となった
秋山好古と真之兄弟である。世界最強のロシア騎兵を防ぎ、
戦史に名を残す激戦を繰り広げ、「日本騎兵の父」と称えられた兄・秋山好古
日本海海戦で無敵と言われたバルチック艦隊を破る秘策を立て、名将・東郷平八郎から
「智謀湧くが如し」と賞賛された弟・秋山真之

しかし、これまで『秋山好古』『秋山真之』、それぞれの伝記・評伝はあったが、
二人の生涯を同時に、そして詳細に追った本は、あまり書かれていない。
本書では、国家存亡の危機を救った好古・真之兄弟、
その二人の活躍と人間的魅力をエピソード中心に並列して描ききる。
正岡子規東郷平八郎広瀬武夫大山巌児玉源太郎乃木希典など、
明治という激動の時代を生きた魅力ある人物たちが登場。
ドラマや小説ではなかなかわからない秋山兄弟の素顔や日露戦争の詳細がよくわかる一冊。

■メモ
日露戦争で陸軍を支えた「好古」、海軍を支えた「真之」
・好古:父親似、尻下がりの大きな両目、高い鷲鼻、大きな耳、背も高く、恰幅がいい、豪傑
   :礼儀作法を重んじ、無欲恬淡、豪放磊落、例えれば鉈、無類の酒好き
・真之:母親似、大きな目、小柄だがスポーツマンのような筋肉質参謀
   :形式にとらわれず、本質を見極め、才気走る、例えればナイフ、常にいり豆をポリポリ
司馬遼太郎坂の上の雲
・この兄弟がいなければ明治の日本はどうなっていたかわからないが、いずれも軍人志願でなく、
 明治時代の日本的諸事情から世に出てゆくあたりが面白い
・好古は8歳で「明教館」の少年部養成舎に入り「四書五経」を学ぶ「武智愛山」に入門して習字
 「信公の鼻垂れ」
・貧乏から弟真之がお寺にやられそうなとき「勉強してお豆腐ほどのお金をこしらえてあげるがな」
・15歳に風呂屋で働いて1日天保銭1枚、そば1杯分、でも週に一度の牛肉がうれしかった
・17歳の少年が家を支えるために教員になることは当時は珍しくなかった
・市ヶ谷の陸軍士官学校で騎兵課、「日本騎兵の父」が誕生
・松山中学校のことを「明教館」、秋山真之正岡子規が同級
・真之は絵心があり、5歳年下の河東碧梧桐が子供のころ「淳さんの凧を買ってくれ」とせがんだと言う
・陸軍大学の好古と予備門の真之は東京で同居のち、真之が子規の住む神田の下宿に転がり込む
・過去5年間の試験問題を見れば問題は大抵わかる、繰り返し問題が出る、日ごろの説明ぶりからもわかる
 試験は戦いと同じ戦術が必要。卑怯でも何でもない
海軍兵学校で「東京丸」に乗って広島の江田島で訓練、大柄な兄と違って水泳が早く、猿やイタチの様に敏捷
 子規から教わった野球を海軍兵学校に広めたのも真之
・好古は病院嫌い「今日、馬から落ちて足を痛めたが水で冷やせば治る」
・「困難には進んであたれ」、「将校だけが着るのは感心しない、病院に送れ」
・真之の渡米にあたり子規より「君を送りて 思うことあり 蚊帳に泣く」
・好古:人間として軍人として常に腹を斬るだけの覚悟がいる、しかし実際にはそこを忍耐していくたびも繰り返し
   :人間の修養も向上もできるのだ
・騎兵に初めて機関砲をつける提案
・好古が駐屯軍司令官の時、総督:袁世凱と友好関係、息子を日本に招待している
明治36年9月、親友 正岡子規が他界
・真之、軍隊の用語をまとめ「兵語界説」にまとめた
 http://www2b.biglobe.ne.jp/~kanemori/zakki-heigo.htm
 http://www2b.biglobe.ne.jp/~kanemori/fukkoku.htm
・戦略戦術の要訣は天地人の利を得るにある
・読んだ本の要点をつかむのが早かった「天才」真之
河東碧梧桐「真之は全エネルギーを職務に打ち込むほかはすべて省略してしまったような男」
・ロシアとの戦争、東郷平八郎の参謀を務める
バルチック艦隊に対しての7段構え、(奇襲〜主力〜奇襲)×2、機雷原で全滅
・敵艦見ゆとの警報に接し、連合艦隊はただちに出勤、之を撃滅せんとす
 本日天気晴朗なれども波高し(真之)
日本海海戦:バルチック海戦、戦死者4524人、捕虜6168人/日本 戦死者160人/負傷者570人
・芝居では善人と悪人とは、顔や姿でわかるようにできているけれど、
 世の中の人はそうはいかないからよく気をつけねばいかん
・真之は2階の障子をすべて開けさせて太陽がのぼる前の相模灘の空を眺め
 「家族を頼む」、般若心経と教育勅語を交互につぶやきながら静かに息を引き取った(享年51)
・弟真之には、兄として誇るべきものはなにもありません。ただ一つ片時も「お国のため」という観念を捨てなかった
・好古 糖尿病と、足の壊疽、足の手術で「おれはまた欲が深すぎたよ」
 享年 72、糖尿病による心筋梗塞
・好古が後進への処世訓として「3無主義」/無欠勤(病気)/無借金(浪費)/無不平
・好古が他界した翌年の昭和6年(1931)は真之の13回忌
 道後公園に真之の像、東郷平八郎元帥の筆「智謀如湧」の文字が

★今現在、松山市の秋山生誕地には、元イタリア軍人職人により復元した
 兄弟の銅像がお互いに見合う形で設置されている、真之の肩越しに見る好古は
 まるで弟をいたわるように、ほめるように馬上より見下ろしているとのこと(2013/10)

・「天剣漫録」真之
 http://www3.ocn.ne.jp/~y.hirama/akiyama-NHK.htm
 http://blogs.yahoo.co.jp/mori152329/2875329.html
 http://www.z-flag.jp/maxim/tenkenmanroku.html
 http://www.sakanouenokumo.com/saneyuki_meigen.htm
 1.細心焦慮は計画、虚心平気は実施の原力
 2.負けん気と油断せざる心が用兵家
 3.結婚し妻子を持つと半死、気持ちが衰え退歩する
 4.金の経済は多く、時の経済を知る者は稀
 5.戦術だけでは数に負ける場合もある
 6.家だけでも世界でもなく、軍人は国家を愛する心が必要
 7.努力と勉強せねばいつでも力は劣っていく(横綱大関、幕内、3段目)
 8.戦術よりも愛国心に富を知る「ネルソン」
 9.人生万事が虚々実々臨機応変
 10.吾人1生の安を偸めば帝国の一生危し
 11.人事を尽くさずに天、天という勿れ
 12.真の勝利は目的の達成にある
 13.平時に智を磨かなければ、運を天に任せられない
 14.神頼みは元来無理な注文
 15.教官や教科書の良い悪いを言うものは啓発の見込み無
 16.自啓自発ないものは、教えても実施できない
 17.責任を持つものはただ、虚心平気あるのみ
 18.無我、私心なかりしか(稲盛和夫
 19.天上天下唯我独尊は軍人の心剣なり
 20.進級速やかなれば、速足にて勉強せざるべからず
 21.人生の30年の半分は寝て過ごすと思えば時間は無い
 22.治にいて乱を忘るべからず、天乱覚悟せよ
 23.世界の地図を眺めて日本の小なるを知れ
 24.世界を統一するのは大日本帝国なり
 25.家康は三河武士の赤誠と忠勤によって天下を得た
 26. 元亀天正の小天地は、目下世界の全面なり。
 27. 人智の発達と機械の進歩は、江戸長崎の行軍時間を東京倫敦(ロンドン)の
  行軍時間と同一にしたることを忘るべからず。
 28. 3月になると早や寒さを忘れて陽気に浮かるるようなことにては、次の冬の防寒は覚束なし。
 29. 咽元過ぐれば熱さを忘るるは凡俗の劣情なり。
 30. 観じ来れば、吾人は緊褌一番せざるべからず。

以上