サムライブルーの料理人 西 芳照 (著)

サムライブルーの料理人 ─ サッカー日本代表専属シェフの戦い [単行本(ソフトカバー)]
 西 芳照 (著)
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4560081115/ref=dp_toc?ie=UTF8&n=465392

■内容紹介
世界で戦う選手たちを「食」で支えてきた専属シェフが初めて語る、W杯の秘策と感動の舞台裏。W杯の勝利のメニューとレシピ掲載!
出版社からのコメント
《日本代表の活躍を支える料理の秘密》
 W杯ベスト16、アジア杯優勝と躍進するサッカー日本代表。選手たちを「食」で支え続ける専属シェフがいる。本書の著者、西芳照だ。西が最初に日本代表の海外遠征に帯同したのは2004年3月、シンガポールで行なわれたW杯ドイツ大会アジア地区予選。ジーコ監督時代から現在に至るまで、日本代表の海外遠征に西は欠かせない存在だ。本書はW杯ドイツ大会、W杯南ア大会を経て、アジア杯優勝に至るまでの舞台裏を専属シェフが初めて明かす感動のドキュメント。
 環境や食習慣の異なる海外で選手たちが最大の力を発揮できるように、西は衛生面に細心の注意を払うと同時にメニューや調理法に様々な工夫を凝らす。それが選手たちの体調の良さだけでなく、チームの雰囲気づくりにもつながっている。現地ホテルの厨房で料理することには苦労も伴う。選手たちの戦いの陰に、シェフのもう一つの戦いがあった。
 W杯、アジア杯ともに延長戦の末まで走り続けた選手たち。どんな料理がスタミナ源になっているのか? 試合前後に何を食べて戦っているのか? 代表選手は食事にどのような配慮をしているのか? 全ての秘密が本書に詰まっている。W杯南ア大会の全メニューを日記で紹介。巻末レシピ付! W杯メニューを再現できる。

■目次
・勝負をかけた料理、★2010年6月23日デンマーク戦前日
★試合前日は「ウナギ」ビタミンB1、B2とEを豊富に含みご飯が進む
・高地対策として★鉄分を豊富に含む食事、ルステンブルク:標高1400m
★試合後にはカレーとアイスクリーム(普段は控えている)
福島県Jヴィレッジ日本サッカー協会/★東京電力パートナー、宿泊兼合宿所
・選手がしっかり食べられて試合で充分に力を発揮する手助け
 身体的にも精神的にもコンディションが整えられるように楽しく食べる

第1章 サッカー日本代表専属シェフになる
・一流の料理人になるために日本一を極める、アポなしで日本全職業調理師連合会 会長小倉氏を訪ね
 ★京懐石「よこい」を紹介してくれた、修行であっという間に5年
★どんな仕事でも楽しくやる
・1997年7月 福島県双葉郡樽葉町にJ-Villageオープン
 ★東京電力が県の地域貢献目的で、日本初の総合的スポーツ施設を建築、天然芝、スタジアム、ホテル並みの宿泊施設
・アスリートの男子なら★3500-4500Kcal(女子なら8割)
・セットメニューから★ビュッフェスタイルに切り替える、嫌いなおかずを残す
 合宿・・・数日では影響は出ない
 プロ・・・本人が食事に関しての★意識が高い → ビュッフェ(★自分で選ぶ、知識を持つ)
・アスリートの食費は1.5倍、名物メニューは「すいとん」…野菜がたくさん、炭水化物、あたたまる
・1999年天皇皇后陛下に福島さんのおもてなし、四倉のサンマ寿司、錆鮎の甘露煮、会津本郷焼、相馬焼
・2004/3 UAE遠征で体調不良になった件から★シェフの帯同、監督と協会の要請
★衛生管理:国際管理手法HACCP(ハサップ)…食中毒や異物混入の要因分析しチェックする
 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html
 東南アジアでは難しい
 手洗い、包丁まな板洗、加熱温度、管理場所を区別、日本ではほぼ守られているが
 外国では1流ホテルでも徹底されていないことが多い
明治製菓、栄養補助食品、★ザバス、ニュートリションラボ
 http://catalog-p.meiji.co.jp/products/sportsnutrition/sports/
 http://www.meiji.co.jp/sports/savas/about/snlabo.php
・サッカー選手としては、★炭水化物:ごはんをしっかり食べることが重要
・水の管理を徹底:シンガポールは室温が27度もあり細菌が繁殖しやすい
 使用後のまな板、包丁を★冷蔵庫に入れる「水切り+ミネラルウォーター」
 豆腐や歯磨きなども注意、加熱殺菌
・食事が楽しみになるように、★ライブクッキングで美味しい状態、希望を叶える(消防法注意)
 ジーコ監督や、中村選手、闘莉王選手が喜
・イランはイスラム教、★豚肉を食べない、お祈りして清めた肉(ハラルミート)のみ
 ブタ肉エキス・調味料、豚肉を切った包丁も×と厳しい食事戒律がある
・唐辛子の★カプサイシンはドーピング検査要注意
★アウェイの厳しい空気が一体感を生んだ
★帯同シェフであるのにサッカーの熱心なファンでない、でもかえってよかった、仕事に集中
・日本代表の場合はサポートスタッフとして、お客様でなく★同じチームの一員として接することが求められる
・3/17頃イランでは「ラダマーン」イスラム教徒の断食の時期で市場が休み食材が手配できない
・イランではタンパク質を主として★ラム肉からとっている(臭みが独特)
・海外遠征時の仕事の流れ
 帯同依頼書、ネットで調査、事前現地下見(協会)、食糧事情、現地ホテル、ライブクッキング可否、スタッフ数
 ご飯のお供はたくさん、お米も試合当日の軽食はおにぎりに短粒種(ジャポニカ米)を使う
・現在では★日本食の浸透とともに、現地スーパーに★調味料があることが多いが
 現地大使館や日本料理店の協力を仰ぐ
・時差ぼけを感じる余裕はない、朝は早く、★帰りの飛行機でぐっすり眠る、★スタッフはもっと多忙
★料理は世界共通のコミュニケーションツール、★いつも笑顔で逆境を克服する、★実力で認め合う
日本食:★照り焼き、★唐揚げ、★ラーメン
・調理器具も日本製は★包丁など有名、★うどんてぼ

第2章 はじめてのワールドカップ―二〇〇六年ドイツ大会
★サッカー協会登録選手:102万人−Jリーグプロ:★1067人(2010年)−日本代表:23人
・海外に出ると日本で普段食べているもの、ウナギ・魚料理、茶わん蒸し、親子煮、肉じゃが、味噌汁 など
★選手は「食」でもプロ
・中澤選手、1日のトータル量を考える、夕食は控えめ、肉は昼まで、★油脂はオリーブオイル、まずサラダから
★信頼できるかどうかわからない人の作った料理・水を食べるのは選手にはストレス
・サッカー選手の持久力、★炭水化物必須、お供(漬物、佃煮、きゅーちゃん、ごはんですよ、キムチ、食べるラー油など)
★試合前は油脂を抑える(ヒレ肉、鶏肉)、炭水化物(ごはん、パスタ)をとる
・調味料会社:キッコーマンの世界進出とともに★日本食の進出・と努力
・ワールドカップ(ドイツ大会)とアジアカップは雰囲気が違う、一体感と競争のせめぎあい
★ドイツ大会のボンはホテルも環境も良かった、、、
 大会後の「辞意」は一蹴、★「監督がシェフを帯同させると言ったら君が行くんだよ:JV大仁氏」
ベトナム料理のフォーが好評
・代表監督とはなんと大変な仕事だろう、★苦しくなるほどの重圧(岡田監督は2回も引き受ける)
・チームの1/3がおなかを壊したり、熱、、、水や食事ではない?

第3章 ワールドカップ南アフリカ大会に向けて
南アフリカの安全性、単独行動は×、
・岡田監督:★勝負の神様は細部に宿る・・・ギリギリの勝負に於いて勝利
・総務担当:1名、チームを動かく役目、ツアーガイド、担任の先生
・スイス合宿時にライブクッキングの指示+突貫工事で対応してくれた(南ア)
・メディカルスタッフ:2人の医者、3人トレーナー、★高地対策で杉田正明先生
・キットスタッフ:2名、物置、共用部屋、4トントラック、55人の1.5か月分の荷物
 練習場で、ボールやユニホーム、タオル、ドリンク
・セキュリティ、添乗員:2名 先乗りし安全確保、準備
・シェフ:2名(本書)
★高地順化のための準備 1500m級の高さでの試合、3か月の順化だがマラソンと違い90分
 血液、尿検査:タンパク、★鉄、ヘモグロビン、★フェリチン(貯蔵鉄)チェック
 1.酸素の薄さ、★血中鉄分不足、貧血
 2.★酸化ストレスで筋力の低下
 3.高地では★糖質の消耗が激しく、持続力が低下する
★間欠的低酸素吸入:安静時に6分低酸素、4分インターバルを60分繰り返す
 自転車でも「呼吸訓練器(★パワーブリーズ プラス) ¥7000」
★食事での鉄分摂取(フェリチン)、★糖質補充、★抗酸化(ビタミンE)
 ・・・レバー、あさり、ひじき、きのこ、大豆、ほうれん草、鉄分補充のサプリ
・高地対策の「★圧力鍋」・・・沸点が低く、火力が弱く、美味しく炊けない「吉村さん」
イングランド、試合後にパスタ(即、炭水化物補充)、スタッフも55人(日本の倍)
 ・・・他国や、チームに学ぶ、試合後のアイスは喜

第4章 二〇一〇年ワールドカップ南アフリカ大会日記
・ファンコート・ホテル、突貫工事でライブステーション「It's great! Wonderful!」
・愛想は良いが、手洗い、調理器具の消毒、食材、配膳は注意
・日本スタッフは★24名、★中規模、英は55名
・食事会場に行くときに外を歩くことで気分転換になる
★ひじき、レバー、で鉄分補充「鉄分」のプレート
・試合前日に油脂の低いヒレ肉、塩コショウ、オイルで漬けた鳥の胸肉
★ウナギ:ビタミンが豊富で疲労回復、免疫強化、カルシウム吸収に優れている、ごはんとも合う
お好み焼きが選手にも現地シェフにも喜ばれる「Big Hotcake」
★高地で火力が弱くお湯がなかなか沸かない、ガスが不完全燃焼で煤が出る
・試合後のおにぎり、カレー、アイス
★経験+周到な準備で予期せぬ出来事に対応する
★肉が喜ばれる
・牛タンとラーメン(選手は普段から我慢している)
・高地対策でルステンブルク入りを★1日繰り上げる
・親子煮:鳥とビタミンB吸収を助ける「玉ねぎ」
・6/23(水)デンマーク戦前日、勝負料理、すべての★肉を投入
★日本韓国は南アで入手可能な食材の情報交換で協力
★岡田監督:皆よくやってくれたPK戦敗退は、俺が何かもう一つ持ってなかったのだと思う
・試行錯誤することで「勝つための栄養学」を成立させる
★娘に「お父さんのことを誇りに思うよ」

おわりに
・2011/1頃4度目のアジアカップ優勝
ザッケローニ監督から★試合後ロッカールームでおにぎりの差し入れ
・初めて右腕に痛み、トレーナーのマッサージでしのげた
・2011年春 福島Jビレッジ
★2011/3/11 東日本大震災「山海の幸に恵まれた土地」の復興を願う

以上