消費税のカラクリ

■消費税のカラクリ (講談社現代新書) [新書] 斎藤 貴男 (著)
 http://www.amazon.co.jp/gp/product/toc/4062880598/ref=dp_toc?ie=UTF8&n=465392

■内容紹介
消費税率アップは暴挙だと言えるこれだけの理由!
財政赤字、経済のグローバル化、ますます増える社会保障予算。
もう、消費税を上げるしかないよね、と思っている人は多い。
しかし、そもそも消費税とはどんな仕組みなのかがほとんど知らされていない。
よく言われる逆進性や消費抑制だけが問題ではない。
驚くほど高い滞納額。税率が上がるほど得をする大企業。弱者が負担を強いられる実態。
知られざる消費税の真の危険性を説き、増税不可避論に警鐘を鳴らす、
ジャーナリスト斎藤貴男渾身の一冊。

内容(「BOOK」データベースより)
消費税とは弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である。…大口の雇用主に非正規雇用を拡大するモチベーションを与えて、ワーキング・プアを積極的かつ確信犯的に増加させた。…これ以上の税率引き上げは自営業者の廃業や自殺を加速させ、失業率の倍増を招くことが必定だ。…消費税は最も社会保障の財源にふさわしくない税目なのである。―誤解だらけの「消費税増税不可避論」に異議あり

【著者紹介】
斎藤貴男
1958年東京生まれ。ジャーナリスト。早稲田大学商学部卒業。
英国バーミンガム大学大学院修了(国際学MA)。
日本工業新聞」記者、「プレジデント」編集部、「週刊文春」記者などを経て独立。
主な著書に、『機会不平等』『梶原一騎伝』(文春文庫)、『ルポ改憲潮流』(岩波新書)、
『強いられる死~自殺者三万人超の実相』(角川学芸出版)、『いま、立ち上がる』(筑摩書房)、
『経済学は人間を幸せにできるのか』(平凡社)など多数がある。


■【目次】
はじめに
・2010/06 菅首相、消費税増額(5%→10%、4年公約破棄)
・ハードル1.★★逆進性、2.★益税、3.★消費の停滞
・中小零細御者、自営業者が★倒産、★非正規化への流れ

第一章 消費税増税不可避論をめぐって
 政権交代増税論議/始まりは財界から/消費税は国税滞納額ワーストワン他
・消費税は国民が広く負担、社会保障の財源に適している?税収は安定している?
小泉路線で2025年までに★税率17%と試算、踏襲している(2010年時)
・基礎年金の国庫負担★1/2へ、社会保障の自然増(1兆円/年)、2011年より2%ずつで10%までは必須(2011年時)
・年間所得1000万〜1.8千万〜100億まで税率は同じ(40%)、住民税の累進課税も緩和
・消費税は滞納額ワーストワン、2008年新規滞納額の半数が消費税、★構造的な問題点
・徴税当局が強力な「消費税シフト」を敷いたにもかかわらずなお国税滞納額のワーストワンになっている

第二章 消費税は中小・零細企業や独立自営業者を壊滅させる
 価格に転嫁できない中小・零細業者/「預かり金」のウソ他
・会社設立後2年間は消費税の納付義務はなく、3年目後でも売り上げ1千万円以内なら「免税:益税問題?」
・★価格に消費税を上乗せしても良いし、しなくても構わない(★事業者間の不公平を招く)
・最終的にだれが負担しようと取れるところからとれれば良い
下請けいじめ、免税点(1000万)、総額表示方式・・・預り金的性格の税金

第三章 消費者が知らない消費税の仕組み
 「★仕入れ税額控除」という仕組み/価格は力関係で決まる/輸出戻し税
・税務署は悪質な判断の部分のみ実施できる強硬手段、その手続きが税務署内で形骸化している
・労働者の賃金までぶんどる差押えは★考慮されてしかるべき?★…各税務署による
・市町村が任意団体「県地方税滞納整理機構」を設立、弁護士や警察OBをスタッフとし2005年前年比11倍近くになるケースもある
・消費税、今は3%でごまかされているけど、価格転嫁できない下請けは、それ以上の値引きを強いられる

第四章 消費税とワーキングプア
 自営業が滅べば失業率は倍増する/派遣に切り替えると合法的に節税できる消費税他
・事業者以外は他人事かもしれないが、零細事業者の消滅が経済に与える影響は小さくない(失業率は5→9%?)
仕入れ税額控除の悪用による脱税、社員の派遣化、ダミー派遣会社(免税点以下)の複数設立
 輸入時・分野の免税などにより、欧州では実質税率は同様、米国では未導入
・従業員の3タイプ化「幹部:長期蓄積能力活用」、「高度専門能力活用」、「雇用柔軟」
・売り上げに対して正社員給与の比率が高い会社ほど納付額が多くなる仕組み
・増加する1人親方(大工、外注化)、大工には長い間「健康保険」が無かった時代に逆行
・(建前)年金財源としてふさわしいか1.課税ベースが広い、2.負担対象が広い、3.景気変動に対して安定的
 …弱者のわずかな富をまとめ強者に移転する

第五章 消費税の歴史
 強行採決で可決、導入/富裕税廃止の代替財源としての大型間接税/細川政権と「国民福祉税」他
・1986年中曽根内閣の際、翌年間接税を導入しようとし、竹下内閣で「消費税誕生」
リクルート事件の同時期に政治腐敗のツケを「消費税」で賄う構図ができた
・反対意見を無視して採決
・消費税はEC型付加価値税をモデルにしている
・欧州では、★食料品や生活必需品、医療、住宅関連など非課税項目も少なくない(概算して10%)
・分配上の不公平が大きい、制度実施にかかる★コストが大きい
 長所:貯蓄・投資を抑制しない、経済中立、効率的歳入
 短所:逆進性、物価上昇、実施コスト、財源浸食、不公平
・中小企業への特例措置:免税(1千万)、売上(6千万以下の控除)、簡易税制

第六章 消費税を上げるとどうなるか
 負担は低所得世帯と小規模業者を直撃/不公平税制をただせば税収は増やせる他
・義務という名の★不明金、不公平、大企業には莫大な★還付
・★価格の転化が零細企業ほどできない不公平、★値引きの強要
・巨大な組織で腕を振るうにはよく考えられた税制、エリート以外はモノ扱い、ワーキングプアの醸成
・書かねばならないと思った。

以上